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食品サプライチェーンはどう回っている?地域循環型モデルが求められる理由

2025.11.24

スーパーで手に取る野菜やお弁当。
実はその裏側には、生産・加工・輸送・販売…と、驚くほど長い“旅”があります。
この数十年、日本の食品サプライチェーンは便利さを追求する一方で、“ある大きな課題”も抱えるようになりました。
それが「地域で循環しにくい仕組み」になってしまったこと。
最近は、食品を「地域の中で作り、地域の中で回す」地域循環型モデルに注目が集まり、実際に全国各地で新しい取り組みが始まっています。
今回は、今なぜ地域循環型モデルが必要なのかをやさしく解説します。

食品サプライチェーンって実はこうなっている

実は“日本の食品は平均1,000km以上”移動している?

多くの食品は、産地 → 工場 → 倉庫 → 量販店 という長い経路を通ります。農林水産省の調査では、食品が消費されるまでに移動する距離は、平均1,000km以上にもなるといわれています。
「地元の野菜を買っているから短いはず」と思いがちですが、実は地元の野菜が一度、九州 → 関西の市場 → 山口へ戻るというケースも珍しくありません。
流通の仕組みが“全国一括”でつくられてきた名残です。

日本の食品ロスは“世界第6位レベル”

日本の年間食品ロスは、523万トン(2022年)。
1人あたりに換算すると **“お茶碗一杯分のご飯を毎日捨てている”** 計算になります。
実はこの食品ロスの多くが、サプライチェーンの途中(流通・加工)で発生している点も特徴です。

今なぜ“地域循環型モデル”が求められている?

 ①輸送距離を短くすると“エネルギー負担”が大きく減る

食品の長距離輸送には、当然ながら多くのエネルギーが必要です。
実は冷蔵・冷凍輸送は一般輸送の **約1.5〜2倍** のエネルギーを消費するといわれ、CO₂排出も比例して増えます。

地域の中で完結すれば、 
・輸送コスト削減
・CO₂削減
・地域経済への還元 
といったメリットが生まれます。

② “安定供給”のためにも地域循環が不可欠

近年、物流2024年問題で輸送力が不足しがち。
遠方に頼る仕組みだと、配送が遅れたり、仕入れが不安定になることもあります。地域の中で生産〜加工〜販売を行うことで、“必要なときに必要な量が届く”安定性が高まります。

③食品ロスを減らす“仕組み改善”にもなる

地域内での循環は、 
・農家さん→加工場
・加工場→店舗  の距離が短いため、“売れる量を見ながら作る”ことが可能になります。
結果として食品ロスが減り、地域全体でのコストも下がるという仕組みが生まれます。

地域循環型モデルはどう構築する?(わかりやすく解説)

①生産・加工を地域内でつなぐ

まずは農家さんと加工場、飲食店を「近く」で結ぶこと。
これは“地産地消”をさらに進化させた考え方です。

②在庫や需要の“見える化”

ITを活用し、地域内の食材量や需要をリアルタイムで把握することで、過剰生産を減らす効果があります。

③ 地域で使えるエネルギーも地域内でつくる

食品だけでなく、エネルギーも地域内で循環させる取り組みが増えています。
たとえば:
・太陽光発電で冷蔵設備を動かす
・余剰電力を地域施設へ供給
・蓄電池で“停電時の食品ロス”を防ぐ 

これにより食品サプライチェーン全体の安定性が高まります。

豆知識:海外では“都市全体で循環”が始まっている

欧州では「フードシェアシティ」という取り組みが進んでいます。
これは、都市全体で食品やエネルギーを循環させる仕組みで、食品ロスを最大40%削減した例もあります。

日本でも、 
・食品残渣からバイオガスをつくる
・近隣農地の肥料に再利用
・エネルギーは太陽光+蓄電池でまわす
といった取り組みが広がりつつあります。

まとめ

食品サプライチェーンは便利になった一方で、
長距離輸送・食品ロス・エネルギー負担などの課題を抱えてきました。
地域循環型モデルを構築することで、

・食品ロス削減 
・輸送コスト削減
・CO₂削減 
・エネルギーの安定供給 
・地域経済の活性化 

と、実は“地域にとって良いことずくめ”の仕組みになります。
まずは、地域の中で「つなぐ」「見える化する」「エネルギーを地産地消する」というステップから始めることで、地域全体の循環が広がっていきます。