NEWS お知らせ

「災害が起きたら…うちはきっと潰れるかもしれない」
そんな不安を持ちながらも、何も対策できていない中小企業の経営者さんは少なくありません。
実は、災害や不況など“想定外”の出来事で事業が止まったとき、最も大きなダメージを受けるのが中小企業なのです。
BCP(事業継続計画)という言葉を耳にしても、
「なんとなく大企業の話でしょ?」
「時間もお金もかかりそう…」
と、遠ざけてしまっていませんか?
でもBCPを整えているかどうかで、有事のときの「生死」が分かれると言っても過言ではありません。さらに、BCPは大掛かりなものでなくても、今あるリソースでシンプルに始めることが可能です。
この記事では、
「BCPとは何か?」という基本から、
「なぜ中小企業にこそ必要なのか」
「実際にどう策定していけばいいか」まで、
経営者や担当者が“明日から動ける”実践的な情報をまとめました。
大切な社員や事業を守るために、ぜひこの記事で「未来を守る備え」を始めてみませんか?
︎BCPとは 中小企業にとって何を意味するのか?

中小企業にとって「BCP(事業継続計画)」は、災害や不況といった“もしも”の状況でも事業を止めずに続けるための命綱のような存在です。単なるマニュアルではなく、大切な社員、顧客、経営資源を守るための“準備の仕組み”そのもの。BCPを導入することで、企業としての信頼性も高まり、取引継続や融資面でもプラスに働きます。
BCPとは何の略で、どんな意味があるの?
BCPとは「Business Continuity Plan(ビジネス・コンティニュイティ・プラン)」の略で、日本語では「事業継続計画」と訳されます。
これは、災害や感染症の拡大、サイバー攻撃などの緊急事態が発生しても、企業が重要な業務を継続できるようにするための計画のことです。
たとえば、大地震でオフィスが使えなくなった場合でも、従業員が自宅から業務を行える体制を整えたり、代替拠点を確保したりといった対策が含まれます。
つまり、**“平常時に考える有事のマニュアル”**がBCPなのです。
重要なのは、BCPは“事業を止めないため”だけでなく、再開を早めることや損失を最小限に抑える目的もあるという点。
一度作って終わりではなく、見直し・改善を繰り返していくことで真価を発揮します。
なぜ中小企業にもBCPが必要なのか?
「うちは小さな会社だから、災害が起きたらもう諦めるしかない」
そんなふうに思っていませんか?でも実は、それは一番危険な考え方です。
中小企業は、資金・人材・物資などのリソースが限られているため、災害や不測の事態の影響を受けやすく、立ち直るのが困難です。
一方で、大企業と違って社内の意思決定が早く、小回りが利くという“強み”もあります。だからこそ、BCPを策定しておくことで危機に強い会社を作ることが可能になるんです。
また、近年は取引先から「BCPを提出してください」と求められるケースも増えています。つまり、BCPは“自分たちの会社を守る”だけでなく、“取引を守るための信頼ツール”としての側面もあります。
社員やお客様の安全、そして会社の未来を守るために、中小企業こそBCPの整備が欠かせません。
大企業と中小企業のBCPの違いとは?
よく「BCPは大企業の話でしょ」と誤解されがちですが、実際には中小企業でもできる、むしろ中小企業だからこそ必要なBCPがあります。
大企業は複数の拠点や豊富な資金力を活かして、詳細で多層的なBCPを構築することが可能です。一方、中小企業は人手も限られ、コストもかけられません。
しかし、その分、中小企業は「優先順位を明確にして、必要最低限に絞った実行可能なBCP」を作ることができます。
たとえば、業務の中で最も止めてはいけないものだけをまず洗い出し、そこに集中した対策を講じる。これだけでも効果は絶大です。
「完璧なBCP」を目指すのではなく、「動けるBCP」「使えるBCP」を作ることがポイントです。規模の大小に関係なく、自社に合ったやり方を見つけることが大切ですね。
中小企業がBCPを導入するべき3つの理由

BCP(事業継続計画)は、「万が一」の時に企業の命綱となるものです。特に中小企業は資源が限られており、被害を受けると回復が難しいため、BCPの整備は生き残り戦略そのもの。ここでは、導入すべき理由を3つに整理してご紹介します。
災害時の被害を最小限に抑えるため
自然災害や停電、通信障害などは、突然発生して日常の業務を一瞬でストップさせます。特に中小企業は、リカバリーに必要な人手や資金が少ないため、業務停止が長引けば廃業に追い込まれるリスクも高いのが現実です。
しかし、BCPが整っていれば、「誰が・いつ・何をすべきか」が事前に明確になっているため、対応がスムーズに行えます。たとえば、主要なデータをクラウドでバックアップしておけば、事務所が被災しても事業は止まりません。
被害を完全に防ぐことはできなくても、“被害を最小限に抑える”ことは可能です。
BCPは、まさに“企業のダメージコントロール装置”なのです。
社員とその家族を守るため
企業がどんなに素晴らしいサービスや商品を持っていても、社員が安心して働ける環境がなければ成り立ちません。特に有事の際、社員の命と生活を守ることは、企業の最も基本的な責任です。
BCPでは、安否確認手段や連絡網の整備、在宅勤務の可否、避難場所の設定など、社員を守るための具体策を事前に準備しておくことが求められます。これがあるだけで、社員の不安はぐっと減りますし、万が一のときにも迅速な対応が可能になります。
また、家族への情報提供体制もBCPの一環として考えておくことで、社員の家族も安心できます。
BCPは「事業を守る」だけでなく「人を守る」ためのものでもあるのです。
信頼性や取引の継続性を確保するため
今やBCPの有無は、企業の信頼性に直結する時代です。取引先や顧客は、災害時にも安定した供給が続く会社と取引したいと考えています。
特に中小企業の場合、大企業との取引が多く、「BCPの提出を求められる」ことも増えています。こうしたときに備えてBCPを整備しておくことで、商機を逃さずに済むのです。
また、BCPを公表することで地域社会や金融機関に対しても「この会社はしっかりしている」という安心感を与えることができます。
BCPは信頼の証であり、事業継続の“信用力アップ”にも直結するツールだと言えるでしょう。
BCP策定の基本ステップとは?

「BCPを作ろう!」と思っても、何から始めたらいいのかわからない…という方は多いはずです。安心してください、基本となる流れは決して複雑ではありません。中小企業でも実行できる「4つの基本ステップ」に沿って進めていけば、無理なくBCPの策定が可能です。
1. リスクを洗い出す
最初に行うべきは、「うちの会社にどんなリスクがあるのか?」を把握することです。地震・台風・洪水・感染症・システム障害など、地域性や業種によって影響を受けやすいリスクは異なります。
このときのポイントは、「なんとなく怖そう」ではなく、“具体的にどの業務に、どんな影響が出るか”を考えること。たとえば、停電になった場合、パソコンが使えず見積もりや請求処理が止まる、というようにシミュレーションをします。
さらに、外部リスク(自然災害・取引先の被災など)だけでなく、内部リスク(感染症・人手不足・システム障害)にも目を向けておくと、より実用的なBCPになります。
2. 優先業務を決める
次にやるべきは、「非常時でも絶対に止めてはいけない業務」を選定することです。すべての業務を維持するのは現実的ではありません。だからこそ、“生き残るために必要な業務”に絞って備えることが重要です。
たとえば、食品製造業なら「仕入れ・製造ライン・物流」が優先されるでしょうし、IT企業なら「サーバー管理」や「顧客対応」が最優先になります。
この「優先業務」は、会社の規模や業種によって違って当然なので、自社にとっての“命綱”を明確にすることが大切です。
ここで優先度を明確にしておけば、限られた時間や人材を有効活用できます。
3. 具体的な対応計画を立てる
リスクと優先業務が明確になったら、それに対して「どんな対応をするか?」を決めていきます。これがBCPの核心です。
例えば、停電時の対応なら「モバイルバッテリーを常備」「クラウドにデータ保存」「ノートPCで代替業務が可能」など、具体的に行動できる内容に落とし込むことが重要です。
また、人が集まれない状況に備えて「テレワーク体制の構築」や「連絡体制の整備」なども検討対象になります。
曖昧な表現ではなく、“誰が・何を・どの順番で・どこで行うか”を決めることが成功のカギです。
計画は「絵に描いた餅」にならないよう、シンプルかつ現実的に!
4. 社内で共有・訓練する
せっかく作ったBCPも、従業員がその存在を知らなければ意味がありません。BCPは、社内全体で“使える状態”にしておくことが重要です。
まずは、わかりやすい形で従業員に共有し、どんなときに何をすべきかを説明します。そして、最低年に1回は訓練やシミュレーションを行い、「実際に動けるか?」を確認しておきましょう。
また、新人やアルバイトなどにもわかるように、BCPの簡易マニュアルやチェックリストを整備しておくと安心です。
「作ったけど使われないBCP」にしないためには、教育と訓練の“習慣化”がカギになります。
中小企業向けのBCP雛形や支援制度まとめ

「自分たちだけでBCPを一から作るのは難しそう…」と感じている方も安心してください。中小企業のために国や自治体、商工会などが無料で使える雛形や支援制度を用意しています。ここでは、役立つツールの入手先と活用方法、さらに補助金や支援制度の最新情報をわかりやすくまとめました。
項目 | 内容 |
BCP雛形の入手先 | 中小企業庁、商工会、都道府県の防災サイトなど |
主な支援制度 | 補助金、専門家派遣、策定サポートツールなど |
具体的メリット | 無料で使える、簡単に導入可能、信頼性アップ |
BCP雛形はどこで手に入る?使い方のコツ
「ゼロから作るのは無理。でもテンプレートがあれば…」という中小企業にぴったりなのが、BCPの“雛形(ひながた)”です。中小企業庁や商工会議所、都道府県の防災ページなどで、無料でダウンロード可能なひな形が多数公開されています。
特におすすめなのが中小企業庁の「簡易BCP策定シート」。チェック形式で質問に答えるだけで、自社用のBCPが作成できる便利なツールです。
ただし、雛形をそのままコピーして終わらせてしまうのはNG。自社の業種や規模、従業員の構成に合わせてカスタマイズすることが大切です。
使い方のコツとしては、まずは「優先業務」や「災害時の対応体制」など基本の枠だけでも埋めてみること。完璧を目指さず、“動ける内容”に落とし込むことが、実効性のあるBCPにつながります。
中小企業庁の支援制度・補助金とは?
BCPの策定には時間も手間もかかるもの。それでも「どうしても作っておきたい」と思ったときに心強いのが、国や自治体の支援制度や補助金の存在です。
中小企業庁は、BCP策定を推進するために「事業継続力強化計画」という制度を設けています。これを策定・認定されると、税制優遇や補助金申請の加点対象、低利融資の支援などを受けられる可能性があります。
また、各都道府県や市町村によっては、「BCP策定に関する専門家派遣」や「無料相談窓口」も開設されています。
小規模企業者にとっては、こうしたサポートを活用することで、専門的なノウハウを無料または低コストで得られるチャンスです。
以下に、主な支援制度の種類と特徴をまとめました。
支援制度名 | 内容 | 主なメリット |
事業継続力強化計画 | 国に認定される制度 | 税制優遇・補助金加点対象に |
専門家派遣 | 商工会などが無料派遣 | 策定支援を受けられる |
セミナー・研修会 | 地方自治体主催 | 実践的な知識が学べる |
よくある誤解と失敗例から学ぶ!BCP導入の落とし穴

「BCPは大事」とわかっていても、実際の現場ではよくある誤解や勘違いが策定の妨げになっています。また、せっかく策定しても“使えないBCP”になってしまうケースも少なくありません。ここでは、よくある落とし穴を3つ紹介し、対策も一緒に解説します。
BCP導入でよくある落とし穴:
・「うちには関係ない」と思ってしまうこと
・雛形をそのままコピーして満足してしまうこと
・訓練や共有を怠り“絵に描いた餅”になってしまうこと
「うちには関係ない」は危険な勘違い
「BCP?そんなのうちみたいな小さい会社には関係ないよ」
——これは中小企業の現場で最も多く聞かれるセリフです。しかし、実際には小規模事業者こそBCPの重要性が高いのです。
なぜなら、中小企業は人員も資金も限られており、ひとたび業務が止まれば立て直すのが難しいからです。たとえば、たった一人の担当者が感染症で休んだだけで業務全体がストップすることも珍しくありません。
災害は「規模の大小」ではなく「備えの有無」によって被害の大きさが決まります。BCPを策定することは、決して特別なことではなく、**“生き残る企業が当たり前にやっていること”**なのです。
「関係ない」ではなく「むしろ必要」と考える意識の転換が、経営の安定を生み出します。
雛形をコピーしただけでは不十分な理由
BCPの雛形はとても便利ですが、それをそのままコピーして満足してしまうのは非常に危険です。なぜなら、雛形はあくまで“汎用型”であり、自社の実情に合っていない可能性が高いからです。
たとえば、店舗型のビジネスと在宅中心のIT企業では、必要な対策も優先業務もまったく異なります。それを同じフォーマットで済ませてしまえば、いざというときに役に立たない「机上の書類」になってしまうのです。
BCPは、「どの業務が止まると致命的なのか?」「社員の連絡手段は?」「在庫や物流はどう維持するか?」といった、自社ならではの現場事情に合わせてカスタマイズする必要があります。
雛形はあくまで“スタートライン”。自社用に調整して初めて本当の備えになります。
訓練せずに「机上の空論」で終わるリスク
BCPを策定しても、実際に訓練をしなければ、いざというときに誰も動けない…ということが本当に多いです。計画があっても、社員がその内容を知らなければ意味がありません。
たとえば、「安否確認アプリを使う」と決めていても、使い方を知らなければ非常時には使えません。計画書に書いてあっても、現場でそれを“実行できる状態”にしておくことが重要なのです。
また、訓練によって「想定外」が見つかることもあります。「この段階で電源が落ちていたらどうする?」「通勤手段が使えないときは?」といった新たな課題が浮かび上がるのです。
年に1回でもいいので、訓練やロールプレイを実施することで、BCPが“使える計画”として活きてきます。動かすことで、見えてくる改善点こそ本当の備えです。
まずはここから!BCP策定を始めるためのアクション3選
「BCPは必要そうだけど、まだ手をつけられていない…」そんな方に向けて、今日から始められるシンプルなアクションを3つご紹介します。どれも難しいことではなく、“とりあえず始める”ことが最大の一歩です!
スモールスタートでOK!最初に決めるべきこと
「完璧なBCPを作らないと意味がない」と思っていませんか?実はそれ、BCP策定が進まない一番の原因なのです。大切なのは“完璧”より“実行可能な最初の一歩”。
たとえば、次のようなことから始めてみてください。
・災害時、まず誰に連絡するか?
・重要書類のバックアップはどこにあるか?
・社員の安否確認はどう行うか?
この3つを決めるだけでも、かなりの安心感につながります。とくに小規模な会社では、こうした“即対応できるルール”が明文化されているだけで、初動の差が大きく変わります。
最初から大きく始める必要はありません。小さく始めて、必要に応じて育てていく。これが中小企業にとって現実的かつ実用的なBCPの作り方です。
無料のチェックシートを活用しよう
「そもそも今うちに何が足りないか分からない…」そんなときこそ活用したいのが、無料のBCPチェックシートです。
中小企業庁や商工会議所などが配布しており、誰でも自由にダウンロードできます。
このチェックシートは、項目にチェックを入れていくだけで、BCPに必要な要素が“できている/できていない”を視覚的に把握できます。「今の自社の弱点はどこか?」が一目で分かるのは大きなメリット。
さらに、その結果をもとに「じゃあ次にやるべきはこれだ」と判断できるため、優先順位をつけた取り組みが可能になります。紙ベースでも、PDFやExcelでも提供されているので、使いやすい形で始めてみましょう。
外部の支援サービスを活用する方法
「社内に詳しい人がいない」「自分ひとりでやるのは不安」
そんなときは、遠慮なく外部の支援サービスを使いましょう。これは甘えではなく、むしろ効果的なBCP策定への近道です。
たとえば、商工会や中小企業庁では、BCP策定支援のための専門家派遣制度を設けています。経験豊富なアドバイザーが、自社の実情に合ったBCPづくりを一緒に考えてくれるので、知識がなくても安心です。
また、都道府県や市町村でも、相談窓口を設けていたり、研修やセミナーを開催しているケースが多くあります。
こうした支援は多くが無料または低コストで利用可能なので、気軽に活用すべきです。
災害・不況に負けない!BCPとは 中小企業の未来を守る策|まとめ

今回の記事では、中小企業が災害や不況などの緊急事態に備えて事業を継続するための「BCP(事業継続計画)」について解説しました。以下に要点をまとめます。
要点まとめリスト
・BCPとは「Business Continuity Plan(事業継続計画)」の略
・中小企業こそ、BCPを策定するメリットが大きい
・BCP策定の基本ステップは4つ(リスク洗い出し → 優先業務の決定 → 対応策 → 共有・訓練)
・雛形やチェックシートを使えば、誰でも簡単に作り始められる
・中小企業庁や自治体の支援制度を活用するのが賢い方法
・「作って終わり」ではなく「訓練・改善」を続けることが重要
中小企業にとって、BCPは“あったほうがいいもの”ではなく“必要な備え”です。
大きな地震、パンデミック、システム障害……何が起こるか分からない今だからこそ、BCPを通して「事業と人を守る準備」を始めてみましょう。
まずは小さな一歩から。「最悪の事態」を「最小限の損失」に変えるために。